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【埼玉】の《歯科医師》。趣味である〈喫茶店〉、〈本〉、〈珈琲〉について情報を発信《☆YOLO☆》

『コーヒーに憑かれた男たち』 ~日本の珈琲御三家~

 

こんにちわ!KENG(ケングー)@Grimpeur_KENG】です!

 

今日は鳩中労さんの『コーヒーに憑かれた男たち』について紹介すると同時に日本の自家焙煎珈琲を牽引した御三家を紹介したいと思います。

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著者である鳩中労さんは、埼玉県川越市の出身。同じ埼玉出身なので、なんだか親近感が湧きますね。

 

嶋中労さんが執筆した、この『コーヒーに憑かれた男たち』日本の自家焙煎珈琲を牽引した3人の日本人【珈琲御三家】を軸に展開していきます。

 

日本の戦後珈琲の状況に少し触れながら、同じ珈琲という1つの飲み物が、どのように3人の生き方に影響を与えたか。そして戦後の珈琲にどのような革新を与えたか。

 

この本を読んだら、珈琲の可能性、そしてその素晴らしさを感じ得ずにはいられない。きっと珈琲の魅力に引き込まれると思います。

銀座「カフェ・ド・ランブル」 関口一郎 

作中に登場する一人目の日本人は関口一郎先生です。先生の「カフェ・ド・ランブル」は昭和23年に銀座で創業し、今なお銀座に君臨しているお店です。

 

 10年以上熟成した「オールドクロップ」を用いた珈琲が有名ですが、焙煎に関しても研究に研究を重ねて、自身の確立した持論を持ち、ネルドリップ抽出に関しても妥協を許していません。

 

その信念と、珈琲哲学を知るにつれ、「関口一郎」という人間性に魅せられてしまう。

新鮮な豆を用いて、豆本来の個性を生かす風潮(ニュークロップ・浅煎り焙煎)の中、一貫して「オールドクロップ」を用いた珈琲を出し続け、多くの珈琲愛好家に支持を受けています。

 

このオールドクロップの賛否に関しては、以前投稿したブログで紹介しているので下記を参照してみてください

keng.hatenablog.jp

  

余談になりますが、私は、関口一郎先生に会いに店に伺ったことがあります。

一度目に行ったときは、高齢ゆえに店には毎日出てきておらず、2度目に店に伺った時も、最初はいらっしゃられませんでした。

 

しかし、会計を済まそうとレジへ向かうと、視線の横にちょこんと座るおじいちゃんが。その人こそが、関口一郎先生だったのです。

 

おじいちゃーん!!

 

本当にそんな感じです。思わず言葉を失ってしまいましたが、本を愛読させて頂いていることをしどろもどろになりながら話し、握手させてください!とお願いすると、快く握手して頂きました。

 

その手は、とても100歳を超えてるとは思えない、大きくて暖かい、職人の手でした。f:id:KENG:20170907232716j:plain

《「写真?こっちに座りなさい。」っと撮影も快く承諾してくださいました。でも、いざ撮影してみると、関口先生窮屈そう。先生の写真写りが悪くなってしまったので、もう一度撮りましょう!と言いたかったのですが、それをお願いするのも申し訳ないと思い、そのまま急いで店を後にしました。》

 

今は、カウンターには甥っ子さんが先生の味を引き継いでいますが、ぜひ先生以上の高みへ登り詰めてほしいです。

これからも「カフェ・ド・ランブル」に足繫く通いたいと思います。 

南千住「カフェ・バッハ」 田口護

2人目は、職人気質な関口一郎先生に対して、一貫した理論派の南千住「カフェ・バッハ」田口護先生です。

 

「職人技は目で盗め」と言われるように、職人の技術の継承は簡単には教えられないという風潮があると思います。また、その技術は職人の長年の経験と勘に基づくものであったりもします。

 

このような風潮には賛否があると思いますが、作中の田口護先生は、このような風潮をあまり肯定せず、研究に基づく実証性と理論性を追求し、「よい」珈琲を提供する。

ちょっとカッコよすぎかもしれませんが、Evidence-Based Coffee(科学的根拠に基づく珈琲)という言葉が田口護先生を表現するのにぴったりではないでしょうか。

 

田口護先生の素晴らしさを知って頂ける1つのエピソードがあります。

それは、2000年に九州で行われた沖縄サミットでの話です。沖縄サミットで提供する珈琲を田口護先生が担当することになったのです。

 

これだけでも大変名誉で素晴らしいことだと思いますが、実際に集まった各国の首脳人に先生が店で提供している「バッハ・ブレンド」をふるまったところ、各々に驚きと感動を与えたそうです。珈琲1杯でですよ?

 

さらに驚くことに、あの珈琲が苦手なクリントン大統領も先生の珈琲に興味を持ち、飲んでみたところ大変絶賛したそうです。

  

先生の執筆した書籍はいくつか拝読させて頂いてますが、どれも非常に理にかなった考え方が多く、珈琲初心者にはぜひ一読して頂きたい書籍ばかりです。 

 

吉祥寺「もか」 標交紀

3人目は、「コーヒー馬鹿」の愛称で親しまれた吉祥寺「もか」店主の標交紀先生です。

 

 残念ながら、2007年に亡くなり先生の珈琲を飲むことは叶いませんが、珈琲に対する先生の情熱は作品の中でいくえにも感じることができました。

いや。その珈琲の情熱は他の2人を凌駕し、常軌を逸しているとも感じられました。

 

作中に登場する、標交紀先生の第二の師匠ともいわれる井上誠先生との「1℃論争」の話があります。

 

一般的に注油時の温度ばかりが問題視されていますが、大事なのは「ネル内の粉の温度が重要である」というのが両者の持論でした。

 

その温度は64℃が最適であると井上誠先生は主張しますが、標交紀先生は63℃が最適だと主張したのです。

たった1℃の違いですが、この1℃の違いが珈琲の風味を劇的に変えてしまうと標交紀先生は考えていたそうです。

 

井上誠先生は64℃の正当性を噛んで含めるように説いましたが、標交紀先生は一切納得せず、結局両者とも譲らなかったそうです。

 

井上誠先生は、悔しかったのか「君はホントに頑固だね。いつかきっと僕のほうが正しいとわかるはずだ」と捨て台詞を残していったそうです。

面白いですね。(笑) でも井上誠先生の気持ちもよくわかります。(笑)

 

標交紀先生は「1秒、1℃、1g」の違いを徹底的に追及するような珈琲の鬼だったんですね。

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